気象予報士×税理士 藤富郷のクラウドな話

コラム

「避暑地と鉄道」


 最も有名な避暑地といわれる「軽井沢」は、群馬県と長野県の境に急勾配の碓氷(うすい)峠があり、移動が困難でした。そこで、明治26(1893)年にアプト式という線路の間の歯形のレール(ラックレール)と歯車をかみ合わせて急勾配を上り下りする方式で、鉄道を開通しました。それにより、上野駅から乗り換えなしで軽井沢に向かうことができるようになり、避暑地として大きく発展しました。現在は、北陸新幹線によって、都心から1時間程度で向かうことができるようになっています。
 そのほか、冬のリゾートから始まり、夏の避暑地の開発に進んだケースもあります。その一例である長野県の「志賀高原」は、長野電鉄の創設者が命名し、スキー場から開発が進みました。鉄道を終点まで乗り、終点から避暑地にアクセスすることで、多くの人を避暑地に送ることができました。そのことにより、鉄道の利用者数も長距離で確保することができたのです。観光地開発と鉄道営業を一体化して、「総合リゾート化」が実現しました。
 また、JRで一番高い所を走る小海線も避暑地を走る鉄道であり、人気の目的地は「清里」や「野辺山」です。40年ほど前は、大ブームにもなりました。
 このように避暑地に高原が多いのは、高度が上がるにつれて大気の気温が下がるためです。乾燥した空気の場合は、1000m当たり9.8度下がります。実際の気温は、避暑地の地面が熱せられるためそこまで低くはなりませんが、毎年どこかで40度を超える中、30度以上になることはまれです。避暑地には、冷房とは違った”自然の涼”があります。
 鉄道がつないだ日本の避暑地。単なる移動手段ではなく、涼しげな目的地を想像し、景色も楽しみながら乗る時間そのものが避暑への旅になります。暑さに疲れたら、レールの先の避暑地へと出掛けてみてはいかがでしょうか。

気象予報士兼税理士
藤富 郷

◇藤富 郷/ふじとみ・ごう

 気象予報士、税理士。埼玉県三郷市生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修了。大学院在学中に気象予報士に登録。日本テレビ「スッキリ」に気象キャスターとして出演しながら税理士試験に合格し、2016年に開業。21年に越谷税務署長表彰受賞。趣味の鉄道では、鉄道イベント出演や時刻表、鉄道模型雑誌にコラムを寄稿。プログラミングやダムにも造詣が深く、”複業”として得意を組み合わせて幅広く活躍中。地元の「三郷市PR大使」を務めるなど、地域との関わりも深めている。