気象予報士×税理士 藤富郷のクラウドな話

コラム

「大きく変わる気象警報」


 2025年も多くの大雨災害がありました。8月上旬には北陸や九州で線状降水帯が発生し、大雨特別警報も発表になりました。防災気象情報の発表について「特別警報」は13年、「線状降水帯」は21年から始まり、今では広く認知されています。
 ただ、近年の気象災害の甚大化に対して、戦後制定された気象業務法にのっとってなんとか仕組みをつくったため、情報の種類が多くなりそれぞれの危険度が分かりにくくなっていました。
 そこで、今回、気象業務法が大きく改正されました。大改革といっていいかもしれません。
 一つ目は、防災情報を5段階の警戒レベルで発表し、今の危険度と何をすべきかが分かるようになります。特に、レベル4の情報として「危険警報」がつくられました。これによって、「レベル2○○注意報」「レベル3○○警報」「レベル4○○危険警報」「レベル5○○特別警報」となり、名称が統一されて危険度が認識しやすくなります。
 二つ目は、「大雨」「氾濫」「土砂災害」「高潮」と名称が整理され、どの災害に対応すれば良いのかをつかみやすくなります。これまでは大雨の警報や特別警報に、浸水や土砂災害、洪水をまとめていたり、含まれていなかったりと、どの災害の危険を伝えているのか分かりにくい場合があったからです。
 三つ目は、レベル3の「警報」が、3~6時間先にレベル4に達すると想定される場合のみ発表される運用に変更されます。これまでの警報は、基準に達した時点で発表されていたため、かなりの頻度でしたが、時間変化も考慮することで大幅に減らされます。つまり、先につながる情報として警報の重要性が高まるのです。
 今回の気象防災情報の改正は、会社防災にとって大きく役立つものになります。求められているのは、レベル3の警報の段階で避難を始め、レベル4の段階では全員避難をしておく状態です。実際は、警報が出ても空振りになることが多いため、警報が出るたびに防災対応していると仕事にならず、警報を軽視しがちです。
 それが、警報が先につながる情報に変わり、さらに頻度も少なくなることで、会社防災の判断のトリガーとして有益な判断材料になるのです。避難行動までの猶予が数時間あるため、会社の人や物を守る時間も確保することができます。
 すでにBCP(事業継続計画)を策定している企業も、まだ会社防災について検討していない企業も、これを機に新しい気象警報を活用した会社防災についてまとめてみてはいかがでしょうか。

気象予報士兼税理士
藤富 郷

◇藤富 郷/ふじとみ・ごう

 気象予報士、税理士。埼玉県三郷市生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修了。大学院在学中に気象予報士に登録。日本テレビの情報番組に気象キャスターとして出演しながら税理士試験に合格し、2016年に開業。21年に越谷税務署長表彰受賞。趣味の鉄道では、鉄道イベント出演や時刻表、鉄道模型雑誌にコラムを寄稿。プログラミングやダムにも造詣が深く、”複業”として得意を組み合わせて幅広く活躍中。地元の「三郷市PR大使」を務めるなど、地域との関わりも深めている。