気象予報士×税理士 藤富郷のクラウドな話「鉄道貨物が物流の救世主に」

コラム

 先日、鉄道がテーマのテレビ番組に出演し、「貨物鉄道輸送」についてお話しさせていただきました。貨物列車を引く機関車が好きで、趣味的な話題が中心でしたが、ほかの出演者とも深く話していくうちに、「鉄道貨物はこれから日本の物流を支えていく大きな存在になるのではないか」という考えを強める良い機会にもなりました。

 現在、国内の貨物輸送のうち鉄道が占める割合は、わずか5%ほど。5割を自動車が、4割を船が占めています。

 鉄道貨物はこれまで、環境に優しいというメリットをアピールしてきました。実際に、二酸化炭素の排出量はトラックの11分の1と、環境負荷の小さい輸送機関です。ただ、環境への取り組みは会計帳簿に数字として載せないため、企業にとっては成果が見えにくく、経営の視点から判断しづらいところです。そのため、機動力の高さなど、メリットが分かりやすいトラック輸送が主流となってきたのです。

 そのような中、最近は深刻な問題が発生しつつあります。トラックドライバー不足の問題です。その原因としては、働き方改革関連法の施行による2024年問題や、団塊世代のドライバーの引退などがあります。加えて、労働力人口減少により、新規ドライバーも減ってきています。物流需要がどんどん高まるのに反して、輸送能力は下がる一方です。やがてこれまで通りのやり方は通用しなくなります。

 そこで、注目したいのが鉄道貨物です。貨物列車は10トントラック65台分を一編成で運ぶことができます。つまり、トラック輸送では65人のドライバーが必要になるのが、たった1人の貨物運転士だけで運べるのです。これはドライバー不足に対応できるだけでなく、トラック輸送を近距離のみに集中させることもできます。

 鉄道貨物のデメリットは、コンテナの積み込みの手間と時間がかかる点です。最近は「東京レールゲート」のような、貨物駅の隣でトラックからコンテナへ積み替えをスムーズに行うための巨大センターができています。今後、通常は大型トラックに固定されている荷台全てを分離可能なコンテナにし、サブスクでいろんなコンテナを利用できるサービスを開始し、さらに、自動で貨車に載せ替えるような仕組みができれば、積み替えの手間も省けて停車時間の大幅な短縮が可能になりそうです。

 これからの時代、県をまたぐ輸送は鉄道貨物に切り替えることで、物流を維持でき、経済の発展にもつながるのではないでしょうか。

 数々の機関車に連なる貨物列車は、荷物と一緒に次世代への希望も運んでいきます。

気象予報士兼税理士 藤富 郷

 気象予報士、税理士。埼玉県三郷市生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修了。大学院在学中に気象予報士に登録。日本テレビ「スッキリ」に気象キャスターとして出演しながら税理士試験に合格し、2016年に開業。21年に越谷税務署長表彰受賞。趣味の鉄道では、鉄道イベント出演や時刻表、鉄道模型雑誌にコラムを寄稿。プログラミングやダムにも造詣が深く、“複業”として得意を組み合わせて幅広く活躍中。地元の「三郷市PR大使」を務めるなど、地域との関わりも深めている。