女性活躍推進が叫ばれて久しいですが、まだまだ実質が伴わない現場が多くあると感じます。特に相談が多いのは、女性職員を管理職に抜てきしたものの、本人から断られてしまうというもの。女性の管理職を増やしたいという企業の経営方針がなかなか実現しない問題の一つです。
では、女性が「昇進したくない」理由にはどのようなものがあるのでしょうか。女性側からの意見を聞くと、まず出張や転勤など勤務形態の問題が挙がってきます。管理職ともなれば、より厳しい勤務形態が予想され、今まで通りとはいかなくなるというわけです。
結婚しない、もしくは結婚しても子どもを持たないなど、ライフスタイルが多様化していますが、やはり育児や、さらには親の介護といった家族の問題で自由が利かないことが多く、昇進を尻込みしてしまう傾向があります。社内の制度や、社会的なサービスを受けられるといった仕組みは整備されてきているのですが、物理的な問題もさることながら、母親、妻、娘としての家庭での役割を満足に果たせないという精神的な重圧が大きいようです。家庭も仕事も中途半端になることを恐れて、やりたくても動けないジレンマを抱えてしまうことが昇進を断る理由であるケースが多いのです。能力が高く完璧主義、しっかり者で責任感が強いなど、管理職として適性がある人ほど、この感情を強く持ちやすいところも問題です。
職場におけるこのような理解はとても大切で、単なる制度にとどまらず、精神的なケア(相談ができるサポート体制など)の充実が望まれます。
また、職場を離れても復帰できる体制、リモートの併用、時短、スーパーフレックスタイム制(限られた時間内での選択ではなく、夜間も休日も含めて勤務時間を選べる)など、業務内容によると思いますが、いろいろな勤務制度のパターンを念頭に置き、取り入れていくことが必要です。
女性管理職が増えると多様性が望みやすくなり、多角的な視点を持つことにもつながります。何よりも対外的イメージの良さが得られ、有能な人材の獲得など求人にもプラスに働く可能性が高いのです。
女性活躍推進のために必要なことを今一度見直し、女性に限らず、全員が働きやすい職場を目指してほしいと思います。
日本メンタルアップ支援機構 代表理事 大野 萌子

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、公認心理師、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで5万人以上を対象に講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)ほか多数。

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