「現場中心・社内開発のデジタル化による金型製造の進化」
株式会社IBUKIは、山形県に本社を置く従業員70人弱の製造業です。主な事業は、加飾技術を強みとした金型製造です。1933年に創業し、2021年にしげる工業株式会社の傘下となりました。同社はデジタル化を通じた製造業の効率化と品質向上に取り組んでいます。今回は「デジタル金型」と「工場見える化」について、自社内で開発・改善・運用を行っている事例をご紹介します。
デジタル金型は、金型にセンサーを内蔵し、金型の状態に関するデータを収集・分析して、製品の品質管理と生産効率の向上に貢献しています。不良品の早期発見が可能になり、製造ラインの停止を最小限に抑えることができ、現場の作業負荷をリアルタイムで把握することで、効率的な生産を実現しています。
また、工場の見える化の一環である「5Sパトロールシステム」は、現場の5S活動をデジタルで管理することに成功しました。従来は紙とデジタルカメラを使っていた5Sパトロールを、タブレットを活用することで効率化し、NG項目の自動転記や写真による記録を容易に行えるようになりました。このシステムにより、現場の整理整頓が徹底され、作業環境の改善が図られました。現場での使いやすさを重視し、従業員が抵抗なくデジタルツールを活用できるように工夫されています。
同社のデジタル化推進には、現場との密接な連携が重要な要素となっています。スモールステップでの導入を基本とし、まずは勤怠管理システムなどの小規模なシステムから始め、徐々にほかの業務へと拡大していきました。この段階的なアプローチにより、現場の従業員が新しいシステムに慣れ、デジタルツールを自然に受け入れることができるようになりました。また、システム名「DenDenmushi」の導入など、現場の声を反映し、愛着を持って使えるシステムづくりが進められています。
さらに、情報の一元管理も進められており、これまで分散していたデータを集約することで、工場全体の状況をリアルタイムで把握できるようになっています。この取り組みは、業務プロセスの効率化や品質管理の強化に大きく貢献しており、経営判断の迅速化にも寄与しています。同社のアプローチは、製造業におけるデジタル化の成功例としてほかの企業にも参考になるものであり、今後もさらなる挑戦と革新が期待されます。
(この事例は筆者取材時のものであり、現在では異なる場合があります)
ウイングアーク1st株式会社 データのじかん主筆
大川 真史

◇大川 真史/おおかわ・まさし
ウイングアーク1stデータのじかん主筆。IT企業を経て三菱総合研究所に12年間在籍し、2018年から現職。専門はデジタル化による産業構造転換、中小企業のデジタル化。オウンドメディア『データのじかん』での調査研究・情報発信が主な業務。社外活動として、東京商工会議所ものづくり人材育成専門家WG座長、エッジプラットフォームコンソーシアム理事、特許庁Ⅰ-OPEN専門家、ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会中堅中小AG副主査、サービス創新研究所副所長など。i.lab、リアクタージャパン、Garage Sumid

