職場のかんたんメンタルヘルス「希薄な人間関係がメンタル不調に」

コラム

 職場での人間関係が希薄になったということが、よく聞かれます。特にコロナ禍以降、直接の会話の機会が減り、職場以外での交流も以前よりハードルが高いものに変化しました。また、ハラスメントを意識して、プライベートの話題を避けようとするあまり、会話の糸口が見つからないということもあります。

 さらには「相手の時間を奪うのでは」と気にし過ぎて、同じ職場にいても、ちょっとしたやり取りまでチャットなど文字ベースで送る人も増えました。しかし実際には、適切な文章を考える方が時間がかかり、相手の時間を奪ってしまっているという面もあります。文字だけですと細かいニュアンスが伝わらず、一方的な解釈を生みがちです。よほど注意しても、読み間違い、勘違いによるトラブルが発生することも多くあります。

 基本的に人は分からないことに対して想像力を働かせて補完する傾向があり、行間を悪い方へ解釈しがちなのです。それが積み重なると、ささいなことで大きなトラブルに発展しやすくなります。こうしたトラブルを防止するためには、直接語り合うことが大切です。特に違和感や疑問があるときは、メールなどの文字ツールではなく、対面で会話する、電話をかけるなど直接のコミュニケーションを併用しましょう。

 不満や憤りを感じていても、ちょっと話すことによって誤解が解け、「なんだ、そんなことだったのか」とあっけなく解決することは少なくありません。毎日繰り返されるささいなやり取りのひずみが、心をむしばんでいく元にもなります。「あーでもない、こーでもない」と悩んだり、不快な想像を膨らませたりする前に、直接確認、質問することで、わだかまりの解消に努めましょう。

 仕事だけでなく、一緒にお昼ご飯を食べるなど、無理のない範囲で接することで、お互いの理解が深まるきっかけにもなります。適度にコミュニケーションが取れている職場は、トラブルが起きにくく、メンタル不調になりにくい傾向ですので、積極的に「話すこと」を心掛けてみてください。

 

日本メンタルアップ支援機構 代表理事 大野 萌子
◇大野 萌子/おおの・もえこ

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、公認心理師、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで5万人以上を対象に講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)ほか多数。