職場のかんたんメンタルヘルス「外国人従業員への関わり方」

コラム


 昨今、外国人従業員の数は増える一方です。さまざまな国籍の人がいて、文化の違いや日本語能力のレベルはそれぞれ異なります。コミュニケーションの取り方で悩んでいる現場も多いのではないでしょうか。

 日本語能力の判定に一定基準はあるものの、理解できているかは個人差が大きいのが実情です。JLPTと呼ばれる日本語能力試験では、N1~N5のレベルで判定されます。一番レベルの高いN1は、「幅広い場面で使われる日本語を理解することができる」となっており、大手企業などで求められるスキルですが、実際に現場で採用されている人の多くは、N3~N4レベルです。「日常的な場面で、ゆっくり話してもらうと、ほぼ分かる」程度のレベルとなっていますが、「ほぼ」の程度は個人差があるでしょう。そのような状況でこちらの意向を理解してもらいたいときに、日本語独特の遠回しな言い方や察してもらおうとする表現はもっての外です。「いつまでに」「何を」「どうしてほしいか」を明確な言葉で伝える必要があります。また、丁寧すぎると分かりづらく、余計なものを省く方が良いので、簡潔な命令調や言い切りの形が理解されやすいともいえます。しかしその場合は、乱暴な言い方になってしまわないように注意することが大切です。声調や表情、ジェスチャーでカバーしたいですね。

 サービス業では、お客さまに対する言葉遣いと職員同士の言葉遣いが違うという問題があります。そのギャップを埋めるためには、どの場面においても「です、ます」調の丁寧語で話すように統一すると良いでしょう。基本的には、日本人同士であっても、職場においてはタメ口を避けるのが望ましいので、職場全員で徹底するのも良いかもしれません。

 また、言葉だけに頼らず「見本を示す」「図や絵に描いて説明する」などの補助も必要です。トラブルの原因は、お互いの意思疎通ができないことが挙げられますので、伝えたから分かっていると思わずに確認することが重要です。これは外国人従業員に限らず、発達障害の人や未経験者にも有効な手段ですので、より良い関係性づくりのためにも工夫してみてください。

日本メンタルアップ支援機構 代表理事 大野 萌子

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、公認心理師、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで5万人以上を対象に講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)ほか多数。