気象予報士×税理士 藤富郷のクラウドな話

コラム

「今年の猛暑が当たり前の夏に」


 今年の夏の暑さは異常でした。この厳しい暑さで体調を崩したり、売り上げに影響が出たり、大変な夏を過ごした方も多かったのではないでしょうか。2025年の夏は、これからの夏の暑さの起点になるかもしれません。
 まずは、国内最高気温の記録が大きく更新されました。群馬・伊勢崎の41.8℃です。07年に埼玉・熊谷と岐阜・多治見で40.9℃を観測し、山形の最高気温の記録40.8℃を74年ぶりに更新してから日本の暑さの歴史が動き出しました。それでも、最高気温の記録更新は大変なことです。5、6年おきに0.1℃だけ高くなり、足取りは一歩ずつでした。それが、今年、兵庫・柏原で7月30日に41.2℃と7年ぶりに0.1℃更新しましたが、8月5日に41.8℃と、たった6日で0.6℃も高くなったわけです。これまでより驚異的なペースで気温が上がった夏でした。
 さらに、最高気温が35℃以上の日を猛暑日といいますが、全国のおよそ3分の2の地点で猛暑日を観測しました。局地的な暑さではなく、全国的に厳しい暑さだったといえます。東京では29日、大阪では45日と歴代最多の猛暑日となり、さらに京都では61日と、丸2カ月も猛暑日だったことになります。これまでの夏の基準は、30℃以上の「真夏」でしたが、これからの夏は35℃以上の「猛暑」と、暑さのステージが高くなってくるでしょう。
 では、今年の夏だけが異常かというと、そうではありません。夏の平均気温は、3年連続で最も高い値を記録しました。気象庁は、今年の夏の暑さは数十年に一度のものと発表していますが、23年の記録も同様の研究結果が出ていました。つまり、以前はなかった異常な暑さがここ3年も続いており、当たり前のことになっています。今後も、この猛暑は特別ではないと考えた方がよさそうです。
 猛暑は、経営の面にも影響があります。まずは、従業員の健康や安全確保が、これまでとは変わってきています。工場や現場、外回りなど、外気と触れる仕事では、熱中症の危険が高まっています。
 加えて、売り上げに関しても、これまでの商品が売れず、損失や在庫を抱えることになります。反対に、猛暑用の商品の在庫が少なかったため、売れる物がなくなる機会損失も出てきます。
 「暑さ寒さも彼岸まで」といいますが、9月でも猛暑日が続くという夏が長い時代になりました。今後は災害級の猛暑に備えて対策をしつつ、売り上げを上げるチャンスと捉え、これまでの夏とは全く異なったイメージで、早めに取り組んでみてはいかがでしょうか。

気象予報士兼税理士
藤富 郷

◇藤富 郷/ふじとみ・ごう

 気象予報士、税理士。埼玉県三郷市生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修了。大学院在学中に気象予報士に登録。日本テレビの情報番組に気象キャスターとして出演しながら税理士試験に合格し、2016年に開業。21年に越谷税務署長表彰受賞。趣味の鉄道では、鉄道イベント出演や時刻表、鉄道模型雑誌にコラムを寄稿。プログラミングやダムにも造詣が深く、”複業”として得意を組み合わせて幅広く活躍中。地元の「三郷市PR大使」を務めるなど、地域との関わりも深めている。