職場のかんたんメンタルヘルス「叱るときの鉄則」

コラム

一人でも部下がいれば、「叱る」という場面に悩まされることがあると思います。
基本的に「叱り方」には、大きく分けて二つの方法があります。

(1)皆の前で叱る
(2)一人のときに叱る

皆の前で叱るのはハラスメントに抵触しないだろうかと不安に思う人も少なくないかもしれませんが、「一人のときに叱る」場合に、ハラスメント相談が多いのも事実なのです。この違いをお伝えしたいと思います。

例えば、皆が守るべき「社内ルール」や「就業規則」から明らかに逸脱している場合は、皆の前で叱っても何ら問題ありません。むしろその方が、現場の士気を下げずに済みます。大した理由もないのに頻繁に遅刻してきたり、書類などの提出期限を守らないなど周りの人たちも迷惑を被ったり、よい気持ちがしないことをあえて代弁することは大切な役割です。この場合は陰で注意してもほかの人には分からず、「なんで注意しないのだろう」という不満が募り、「あのような態度が許容されるなら自分も……」と負の連鎖につながりかねません。

反対に、個人的な問題を含んでいる場合は、個別に対応しましょう。しかし、個別や別室に呼んで叱るかどうかは、あくまでもケースバイケースです。なぜなら、最近は「二人きりになるのが怖い」「別室に呼ばれるのが嫌」という相談が多いのです。
いずれも恐怖感が募るという理由です。これには、環境やそもそもの関係性が大きく影響するところです。それならばどうすればよいか。相手に確認を取ることです。「〇〇の件で話をしたいのですが、ここでよいですか?それとも場所を移しますか?」と確認することが大切です。相手からの明確な答えがあるかどうかは別として、こうしたプロセスを踏むことが大切なポイントです。

そして、いずれにも注意点があります。それは「人格否定をしない」ことです。行動について「〇〇してください」と強く言っても構いませんが、「本当にだらしないやつだな」などとその人自身に言及するような発言は避けましょう。たとえソフトな言い方をしたとしても、ハラスメントと言われてしまいかねません。

日本メンタルアップ支援機構 代表理事 大野 萌子
◇大野 萌子/おおの・もえこ

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、公認心理師、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで5万人以上を対象に講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)ほか多数。