桜の季節が近づいてきました。桜が咲くと本格的な春の訪れが感じられ、人もまちも活気づきますね。お花見や観光など経済にも影響があるため、開花が待ち遠しい人も多いのではないでしょうか。
昨年は、桜の開花が観測史上最早という地点が続出するほど、全国的にかなり早い桜の季節の訪れとなりました。特に北日本で記録的に早く、平年の開花日が4月8日の仙台では、3月26日に開花、3月31日に満開と、早い春の訪れになりました。満開から散るまでは約1週間ですので、平年の満開時期に合わせてイベントを準備していた場合は、対応が難しかったかもしれません。
桜の開花が早まるきっかけは、暖冬です。前年の夏にできる桜の花芽は、季節が進んでも休眠していますが、ひとたび真冬の寒さを感じると、つぼみへと成長し始めます。つぼみは気温が上がるにつれて膨らみますが、平年より高い気温が続くと、それだけ成長が早くなっていくのです。
桜開花の予想に「600度の法則」といわれるものがあります。2月1日からの最高気温を足して、600度になる日を開花日と予想するのです。実際に、東京の最高気温の平年値が600度に達する日は、桜の開花の平年値と2日ほどしか違いません。平年値を基準に比べることで、開花の早さや遅さの傾向が見えてきます。
さらに、開花直前の暖かさも重要です。特に、3月に20度を超える日が続くと、一気に開花が早まります。極端な暖かさは長期予報では予測できないので、3月に入ってから日々の気温変化が大きいと、急に開花予想が変わることも多いです。
ただ気温が、暖かければいいというわけでもありません。2020年の鹿児島では、1月から20度を超える日が多かったにもかかわらず、開花が4月1日と遅く、満開は4月19日でした。満開まで、なんと18日もかかりました。この年は、桜の花芽が真冬の寒さを感じて目を覚ます「休眠打破」がないまま成長したので、開花までダラダラとしか進まなかったのです。今後、さらに温暖化が進むと、九州では冬も気温が高くなり、東北より九州の開花が遅くなるという研究結果もあります。
今年も暖冬傾向で、桜の開花は昨年に続き早い予想となっています。3月になると開花予想が頻繁に発表されるようになります。イベント開催の予定がある場合は、開花日が急に早まることを想定して、ゆとりを持って準備しておくと良さそうです。
気象予報士兼税理士 藤富 郷

気象予報士、税理士。埼玉県三郷市生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修了。大学院在学中に気象予報士に登録。日本テレビ「スッキリ」に気象キャスターとして出演しながら税理士試験に合格し、2016年に開業。21年に越谷税務署長表彰受賞。趣味の鉄道では、鉄道イベント出演や時刻表、鉄道模型雑誌にコラムを寄稿。プログラミングやダムにも造詣が深く、“複業”として得意を組み合わせて幅広く活躍中。地元の「三郷市PR大使」を務めるなど、地域との関わりも深めている

