「ネガティブ感情は敵視しないで受け入れる」
ネガティブ感情は良くないものとして、できるだけ排除しようとしていないでしょうか。つらいときでも、「ネガティブにならず、できるだけポジティブにいこう!」と鼓舞することもあると思います。しかし、逆効果になる場合が多いのです。ネガティブな感情を無理やりポジティブに変えようとしたり、無視したりすると、いつまでも自分の気持ちに向き合えず、自己コントロールがうまくいかなくなるからです。
誰でも生きていれば、嫌なことがあったり、何らかの悩みを抱えたりするのは当然のこと。それが自然です。最近の傾向として、憂鬱(ゆううつ)や不安などのネガティブな感情を持つことは良くないこと、さらには、「病気」と捉える風潮があるように強く感じます。しかし、そんなことは決してありません。喜怒哀楽の感情は、どれも大切な気持ちであり、どれかが欠けるとバランスを崩すことにつながってしまいます。無理やりポジティブな自分を演じてしまうと、本来の自分の気持ちとのギャップに苦しむことになるのです。本当のポジティブ思考とは、ネガティブな気持ちを無理やりポジティブにしようというものではないのです。
それでは、嫌な気持ちから自分を解放するにはどうしたら良いのでしょう? ここでは、簡単な方法を一つお伝えしたいと思います。嫌な気分にどっぷり浸ることです。「こんなことを考えては駄目だ」と、嫌なことを忘れよう、考えないようにしようと思えば思うほど、反対にその感情にとらわれてしまう傾向があります。そこで、無理して考えないように頑張るのではなく、あえてその傷をじっと見つめる。それこそが、回復を早めるポイントです。
具体的な方法としては、自分のネガティブな気持ちを紙やスマホメモに書き出してみるのが良いでしょう。大切なのは、湧き上がってくる感情にただ素直に向き合うということです。無視をしたり、追い出そうとしたりせずに、「つらいな」「悲しいな」「苦しいな」というあなたの気持ちにそっと寄り添うだけ。無理やり分析をしたり、乗り越えたりする必要もありません。
ネガティブ感情にじっと向き合ってみると、つらさや悲しみを手放せるまでの時間が徐々に短くなってくる感覚を得られるはずです。
日本メンタルアップ支援機構 代表理事
大野 萌子

◇大野 萌子/おおの・もえこ
法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、公認心理師、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで5万人以上を対象に講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書にシリーズ51万部超『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)ほか多数。
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