ITを事例からひも解く「コンテンツの作成で悩むときは…『ChatGPT』も活用してみよう」

コラム


 本連載では、IT経営マガジン「COMPASS」に掲載した全国のIT活用事例をもとに、中小企業の経営において、ITがどのように役立つかを解説していきます。

 ホームページにブログ、SNS。ネットを使った情報発信は会社や商品のPR、問い合わせや集客増に欠かせない顧客接点です。とはいえ、知らせたいニュースやトピックスがあるときはともかく、「書くのが大変」「何を書けばよいのだろう」と悩むことも多いのではないでしょうか。「どうしようかな…」と考えているうちに時間が経ち、情報発信が途絶えてしまいがちです。

 「ネタ探し」「観点の発見」など「考えるときのヒント」として活用してみたいのが、最近話題の「ChatGPT」(チャットジーピーティー OpenAI社)です。

 AI(人工知能)は、人間が行う判断を学習し、推測の精度を上げていく技術です。「ChatGPT」は、言語を扱うことができ多数のコンテンツを事前に学習しており、利用者の問いかけに応じてアウトプットできる革新的なサービスです。2022年秋にサービスインしてからは、大きな話題を提供しました。文章や画像などを生み出すAIは「生成AI」と呼ばれ、AIの新時代を拓きました。

 23年は、私も全国各地で「ChatGPTを入口にした生成AIがもたらすインパクト」について入門セミナーを担当いたしましたが、それぞれの地で、皆様の関心の高さを感じました。

 ●「ChatGPT」から視点を得る

 原稿執筆時点において提供されている無料の「ChatGPT3.5」では、問いかけや指示に対する「回答」をわかりやすく文章で返してくれます。あくまでも回答であり、解答=正解ではないことに注意しておきましょう。

 人が書いたかのように文章を生成することはできますが、内容を全部理解しているわけではないので、一つの見解として参考までに利用するのがコツです。

 「正解ではないかもしれないのになぜ役立つの?」との疑問が湧くかもしれません。「ChatGPT」は過去の大量の情報(最新ではない)を学習しているので、幅広い情報に基づいた視点、自分にはない観点を得られることがあります。

 ネットコンテンツ作成のヒントをもらった2社の事例を紹介しましょう。

 一つは「ネタ探し」です。事業分野に関連した話題はないか。調べたほうがよいテーマはないかなどを「ChatGPT」に問いかけて、「これいいな」と感じたものを自分で深掘りしている経営者の方がいらっしゃいます。作成の効率が向上したそうです。

 例えば、「スマートフォンに関するブログを書きたいのだけど、どんなテーマがあるだろう」「美容院で行うカラーリングについてネタはない?」などと問いかけ、示されたテーマでピンときたものを参考に、自分で勉強しつつ、書いてみるというのはいかがでしょう。

 もう一つは、「自分にはない視点」です。例えば、毎回頭をひねっているけれど、どうしてもパターンが決まってしまうキャンペーンのキャッチコピーや商品・サービスの紹介。人はそれぞれ言葉づかいに特徴や「癖」があり、自分とスタッフの感覚から脱することができないものです。そんなときに「自分の業種(あるサービス業)に足を運ばない人の理由はなんだろう」と問いかけて、そこに訴える文章を書いた経営者の方がいらっしゃいます。その店舗は、「来ない理由」に挙げられた点をクリアしていたので、その特徴を一つずつテーマにして投稿しようと決めました。

 そのほか、「弁当店のキャッチコピーの改良案を欲しい。考えるときに必要な情報はなんでしょう」と問いかけて、「次の3つに注目してみましょう。 1.ターゲット層の拡大:どのような新しい顧客層をターゲットにしたいですか?  2.お弁当の特徴:強みは何ですか? 3.店の雰囲気や哲学:価値観やお店の様子は?」といった回答を受け、指摘されたポイントを言葉にして、「ChatGPT」にキャッチコピー案を出してもらう、といったこともできます。

 自分やスタッフとはまた別の第三の観点が得られて、発見があることと思います。人と話していて「そういう考え方もあるな」「自分はそこに気づかなかった」と感じることに似た機会を得られるでしょう。

 こうしたツールは仕事の効率を上げることはもちろん、考えの整理や広がりをもたらす点に面白さがあります。最新技術であるAIも使うのは人ですから、上手な活用法を考えていきましょう。

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【事例からヨミトル】

・「ChatGPT」はたくさんの文章を学習し、指示に応じて日本語で文章を生成できる新しいAIサービスの一つです。

・一部サービスを無料で利用できるので、試してみるのもお勧めです。

・正解を得る目的ではなく、考えを整理したり深めたり、自分にはない表現案を得たりすることに活用してみましょう。

                                            IT経営マガジン「COMPASS」編集長  石原 由美子

◇石原 由美子/いしはら・ゆみこ

 アップコンパス代表。教材編集や講師業を経て、情報処理技術者試験の書籍編集、モバイル分野の雑誌編集を担当した後、IT経営マガジン「COMPASS」https://www.compass-it.jp/の編集に携わる。中小企業支援機関・支援者と連携しながら、中小企業が主体となる等身大のIT活用をテーマに、全国の事例を取材し、その本質を伝えている。各地の商工会議所においても、IT活用事例・DX入門等のセミナーを担当。