気象予報士×税理士 藤富郷のクラウドな話

コラム

「会社防災のすすめ」

今年も大雨特別警報が発表になるなど、被害の大きい自然災害が頻発しました。会社の災害対策はできていますでしょうか? 企業にとって、突然やって来る災害は経営に大きなダメージを与えます。主要な事業が被災すると売り上げがぐっと下がるため、企業の継続が困難になることもあります。
 私は気象キャスター・防災士と税理士という、それぞれ関係のないような仕事をしていますが、お互いをつなげられたら面白いなと感じておりました。その中で見つけたのが、防災を企業経営に結び付けることです。
 近年は災害への対策として、BCP(事業継続計画)が注目されています。すでに導入している企業もあるかと思います。ただ、BCPを策定するには、さまざまなリスクを想定するため、作業が煩雑でなかなか大変です。特に、中小企業にとっては負担が大きくなります。帝国データバンクの調査でも、BCPを策定している中小企業は17%ほどと、大体数の企業では取り組まれていないことが実情です。さらに、BCPは災害発生”後”に事業を短期間で復旧させる経営計画であり、災害発生”直前”での対応は苦手です。
 そこで、私が新しく考案したのが、「会社防災タイムライン」というコンセプトです。これは、災害発生に備え、発生前は「自然災害の会社への影響を数値化」、直前は「気象情報を活用し被害を軽減」、被災後は「早期の復旧」という時系列の流れで会社の人と資産を守る取り組みです。想定される災害を自然災害に限定し、とりわけ予測が可能な気象災害に注目することで、作成作業の負担が少なくなり、リスク評価もしやすくなります。
 特に重視したいのが、災害発生直前の対応です。災害が迫っている中で適切に対応することで、事前の対策が最大限の効果を発揮し、想定された復旧費用の減少や復旧期間の短縮につながります。
 ここで役立つのが、気象情報です。気象キャスターをしていると、災害発生の予測精度が高くなっていることを実感します。住民の避難に向けての情報である気象情報を企業向けに読み替えることで、発表される情報のタイミングに合わせた対応が可能になります。タイムライン形式で取り組みを設定することで、災害発生直前でも今何をすべきかが分かりやすくなります。
 災害において、一番大切なのは人の命です。ただ、災害で会社がなくなると、被災後の生活に大きな影響が出てきます。会社を災害から守ることも考えてみてはいかがでしょうか。

気象予報士兼税理士
藤富 郷

◇藤富 郷/ふじとみ・ごう

 気象予報士、税理士。埼玉県三郷市生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修了。大学院在学中に気象予報士に登録。日本テレビの情報番組に気象キャスターとして出演しながら税理士試験に合格し、2016年に開業。21年に越谷税務署長表彰受賞。趣味の鉄道では、鉄道イベント出演や時刻表、鉄道模型雑誌にコラムを寄稿。プログラミングやダムにも造詣が深く、”複業”として得意を組み合わせて幅広く活躍中。地元の「三郷市PR大使」を務めるなど、地域との関わりも深めている。