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「必ずやってくる『未来のトレンド』をイメージする方法」

 8月5日に観測史上最高となる41.8度を群馬県伊勢崎市で記録するなど、今年の夏はこれまでで最も暑い夏でした。この数年、毎年のように暑さが増して最高気温だけでなく、猛暑日や真夏日の日数も過去最高を更新することが常態化しています。地球温暖化の原因については諸説ありますが、温室効果ガスの排出規制の効果が地球規模で期待されない現状においては、当面この傾向は続くと考えられます。
 以前このコラムで、地方の中小企業の経営者は未来に起こることを予測して、その先にビジネス視点で網を張ることが大切だとお伝えしました。今回は、どのようにして未来を予測すればいいのか、その変化をビジネスの世界にどう落とし込めばいいのか、その方法について考えてみます。
 温暖化も一つの例ですが、この先10年、20年を考えたときに、どの時点でどこまで行くかは正確に読めないけれど、確実に一定の方向に向かっているような事柄はいくつもあります。例えば、テクノロジーの進化はこの先も後戻りすることなく、進んでいくでしょう。それは、例えば情報処理速度や通信速度の向上という形で表れて、その結果、自動運転や自動翻訳などは確実に手の届くところに降りてくると予想されます。日本国内における高齢化や少子化もそうです。また、数値では捉えにくいですが、利便性を求める人間の性質や生活スタイルの変化から見て、例えば家事はますます手抜きできるようになるでしょうし、冠婚葬祭といった家族単位のイベントもますます簡略化されるでしょう。
 こうしたトレンドを、自分のビジネスとどう関連付けるのか。消費トレンドの変化を具体的に予測していくために、私自身は次のような方法を取っています。まず、例えば「温暖化」や「自動運転の普及」といったトレンド軸について、それがどのような影響をもたらすかを五つの視点から見るようにしています。それは「衣食住」と「働く」「遊ぶ」です。そしてそこから生まれる疑問をAIに投げてみるのです。
 例えば、「食」の視点で「温暖化」によってはどんな影響が出るかを考えてみます。すでに熱中症対策で水分や塩分摂取について気を付けるようになっています。この先、今の猛暑日(最高気温35度以上、東京では今年29日)と同じくらいの頻度で40度以上の日が出現するとしたら、食生活はどう変わるでしょうか。AIに聞いてみたら、面白い視点を提示してきました。「水分を多く取るため、胃腸の調子を崩す人が増え、梅干しや発酵食品など食欲を刺激したり胃腸の調子を整えたりするような食品がはやると考えられ、さらに冷たいものを避ける人が増えるため『ぬるい』調理法による食品が数多く登場するでしょう」とのことでした。実際その通りになるかどうかは分かりませんが、新しいビジネスが生まれる可能性を感じさせます。こんな方法でさまざまなトレンドを分析しつつ、AIを使って具体的なイメージを広げてみてはいかがでしょう。

地域経済アナリスト/コンサルタント
渡辺 和博

◇渡辺 和博/わたなべ・かずひろ

 合同会社ヒナニモ代表。1986年筑波大学大学院理工学研究科修士課程修了。同年日本経済新聞社入社。IT分野、経営分野、コンシューマ分野の専門誌の編集を担当。その後、日経BP 総合研究所 上席研究員を経て、2025年4月から現職。全国の自治体・商工会議所などで地域活性化や名産品開発のコンサルティング、講演を実施。消費者起点をテーマにヒット商品育成を支援している。著書に『地方発ヒットを生む 逆算発想のものづくり』(日経BP社)。