気象予報士×税理士 藤富郷のクラウドな話

コラム

「警戒アラートで熱中症対策」

 全国的に猛暑になった昨年の夏、北日本を中心に、多くの場所で観測史上1位の暑さを記録しました。特に、秋田県内は暑さの勢いが止まらず、過去の観測史上最高気温上位10位のうち、五つが更新されたほどでした。
 この記録でふと思い出したのが、秋田の夏の風物詩「ババヘラアイスの屋台」。道路沿いのパラソルの下、おばあちゃんがヘラで2色のアイスを花の形に盛り付けてくれます。15年前に訪れたときは、現在ほど暑くなかったのですが、近年の異常な暑さに、屋外での販売は店員さんの体調が心配になります。さらに今年は、ペルー沖の海水温が平年より低いため、「ラニーニャ現象」が発生する予想で、猛暑の可能性が高まっています。熱中症にますます注意が必要です。
 例年、熱中症で救急搬送される人は高齢者が半数以上ですが、現役世代も3分の1を占めています。実は、熱中症は気温だけでなく、湿度、風速、日射量など複数の要素が関係していますので、気温の数字だけ見ていると油断しがちです。そこで、参考にしていただきたいのが「暑さ指数(WBGT)」です。先ほどの複数の要素を考慮した熱中症リスクの指標で、指数31以上が一番高い「危険」ランク。外出を控えることが求められています。次に「厳重警戒」や「警戒」レベルがあり、室温の上昇や十分な休息についても注意喚起されています。
 2021年以降は、この暑さ指数を活用した「熱中症警戒アラート」が提供されています。前日や当日の予想で、観測地点のどこかが指数33以上になると都道府県単位で発表されます。昨年の発表は合計1232回でした。そして、今年からはさらなる猛暑に備えて、もう一段階特別なアラートが開始されました。それが「熱中症特別警戒アラート」です。これは、都道府県の全地点の暑さ指数が35以上になった時に発表されます。過去10年間で基準に達したことはありませんが、暑さレベルは容赦なく上がっています。
 さて、職場では「安全配慮義務」というものがあります。職員の熱中症に関しても十分に注意が必要です。屋外での作業は、適切な判断で休憩や休止を取り入れ、風通しの良い服装や水分補給にも配慮しなくてはいけません。熱中症が疑われ、症状が回復しない場合は、早めに救急車を呼ぶ必要があります。屋内の環境にも同様に気を配り、猛暑を安全に乗り切りましょう。熱中症は対策をすれば避けられる症状です。暑さ指数や警戒アラートを活用して、職場でも積極的な熱中症対策ができるといいですね。

気象予報士兼税理士

藤富 郷

◇藤富 郷/ふじとみ・ごう

 気象予報士、税理士。埼玉県三郷市生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修了。大学院在学中に気象予報士に登録。日本テレビ「スッキリ」に気象キャスターとして出演しながら税理士試験に合格し、2016年に開業。21年に越谷税務署長表彰受賞。趣味の鉄道では、鉄道イベント出演や時刻表、鉄道模型雑誌にコラムを寄稿。プログラミングやダムにも造詣が深く、”複業”として得意を組み合わせて幅広く活躍中。地元の「三郷市PR大使」を務めるなど、地域との関わりも深めている。