「年々高まる熱中症危険度」
今年の6月1日より、職場での熱中症対策が企業に義務付けられることになりました。対象は、暑さ指数(WBGT)28℃以上または気温が31℃以上の環境で、連続1時間以上または1日4時間を超える作業が見込まれる場合です。内容は、熱中症の自覚症状がある人や熱中症の恐れがある人を見つけた場合の連絡体制を整えること、必要な措置や医療機関への搬送などの手順を作成し、周知することで、対策を怠った場合は罰則も決められています。
職場の熱中症対策が義務付けられるほど、記録的な暑さになっているということですが、昨年も2023年と並んで観測史上最も暑い夏になりました。熱中症による死亡者数は、統計を取り始めてから初めて2000人を超えました。23年よりもさらに多くなり、その要因の一つは、最高気温が35℃以上の猛暑日の多さにあります。これまでは、年間猛暑日日数は46日が最多でしたが、それを上回る50日以上の地点が20地点もありました。その中でも、福岡県太宰府市では40日間連続で猛暑日となり、真夏の間中、体が休まる日がなかったのです。
この35℃という気温は、大きなポイントとなります。体温を下げる役割は、皮膚からの放熱と汗の蒸発による気化熱の二つがありますが、体の熱を外に逃がすためには、体温よりも気温が低い必要があります。気温が35℃以上になり体温を超えてくると、放熱の効果が非常に小さくなり熱がこもるので、猛暑日は熱中症の危険度が急速に高まってしまいます。
そこで重要なのが「今の気温を知ること」です。気温の上昇傾向を早めに把握することで、外出を控えたり、意識的に水分補給をしたり、熱中症への対策が可能になります。お出かけ前に、天気予報で予想最高気温を確認するだけでも、事前に備えることができます。また、暑さ指数(WBGT)で体感危険度を知ることも参考になります。
今年の夏も気温が高まる予想で、偏西風が平年より北に流れやすいため、昨年と同じような猛暑になる危険があります。
近年の猛暑は、昔と比べて暑さの質がまるで異なります。5月で早くも猛暑日になり、真夏は極端な暑さが連続で長く続き、湿度も高く、夜間もなかなか気温が下がらない熱帯夜です。レベルの違う危険な暑さになっていますので、気力で我慢をすることのないよう注意が必要です。風通しの良い服装で、エアコンなどをうまく利用して、早めの熱中症対策を心掛けてください。
気象予報士兼税理士
藤富 郷
◇藤富 郷/ふじとみ・ごう

気象予報士、税理士。埼玉県三郷市生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修了。大学院在学中に気象予報士に登録。日本テレビ「スッキリ」に気象キャスターとして出演しながら税理士試験に合格し、2016年に開業。21年に越谷税務署長表彰受賞。趣味の鉄道では、鉄道イベント出演や時刻表、鉄道模型雑誌にコラムを寄稿。プログラミングやダムにも造詣が深く、”複業”として得意を組み合わせて幅広く活躍中。地元の「三郷市PR大使」を務めるなど、地域との関わりも深めている。
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