職場のかんたんメンタルヘルス

コラム

「ハラスメントになりやすいNGワード」


 ハラスメントにならないようにと言動には気を付けているという人も、無意識のうちに行為者になっていることがあります。思わず使ってしまいがちなNGワードを、今回はご紹介します。

■NGワード1:「とりあえず見ていればいいから」「やりながら覚えて」
 部下に対して、思いやりのつもりで使っていませんか。また、「仕事は見て、真似(まね)て身に付けていくもの」といった信条を持っている人は、部下とのすれ違いを生みやすい傾向にあります。実際「今は見ていればいいから」と、あえて部下に指示を出さずにいた上司が、新入社員から「何も教えてもらえず、やることもなく精神的な居場所もなくて、とても苦痛だった」と指導怠慢で訴えられたケースがあります。新人指導を行う場合は、スモールステップで具体的に少しずつ業務のノウハウを教えていくことが大事です。

■NGワード2:「何でも相談して」「そのくらい自分で考えて」
 部下の信頼を一気に下げてしまう「ダブルバインド(二重拘束)」に気を付けましょう。ダブルバインドとは、二つの矛盾したメッセージを同時に伝えてしまうことです。相手は混乱して心理的なストレスを感じます。例えば部下に、「何でも相談して」と言っておきながら、実際に相談されると「今は忙しいから後にして」と軽くあしらったり、「それくらいのことは自分で考えて」と突き放したりする。これらは、相手を振り回すことでマインドコントロールを行う「モラルハラスメント(モラハラ)」に抵触する行為にもなり得ます。指導的立場にある人は、自分がダブルバインドで部下と関わっていないかを意識してください。

■NGワード3:「なぜこうなったの?」
 使うタイミングによって「なぜ?」は、「デンジャラス・クエスチョン」といわれる”相手を追い詰める言葉”になります。例えば、不測の事態が起こったときの「なぜ?」がそうです。計画通りにいかないトラブルが”不測の事態”です。従って、「なぜ?」と問われても即座に答えようがありません。それにもかかわらず、つい口を突いて出てしまう”上司のなぜ”。これは部下を不快な思いにさせるばかりでなく、反発心を刺激します。「なぜ?」の多い上司は「問題解決思考」といえますが、「追及」「脅迫」「叱責(しっせき)」と解釈される危険性もあります。もちろん原因究明が必要なこともありますが、そこで部下を追い詰めないようにしましょう。もに健康に夏を乗り切りましょう。

日本メンタルアップ支援機構 代表理事

大野 萌子

 

◇大野 萌子/おおの・もえこ

 法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、公認心理師、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで5万人以上を対象に講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書にシリーズ51万部超『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)ほか多数。