職場のかんたんメンタルヘルス「『やる気』のスイッチを入れる方法」

コラム

 

 「やらなければならないこと」を先延ばしにしていないでしょうか。「○○だからできない」と理由を付けて「やるべきこと」から目をそらしてしまったり、「今日こそやろう」と思っても、あっという間に時間が過ぎ去り憂鬱(ゆううつ)になってしまったりした経験もあると思います。そういった場面で「やる気」のスイッチを入れ、集中して取り組むためにはどうすればいいのでしょうか。

 趣味や好きなことに集中していて、時間がたつのも、ご飯を食べるのも忘れるくらい夢中になった経験があると思います。それは、集中してやり続けられる能力が備わっているということでもあります。集中できないのは「気持ち」の問題です。やるべきことを先延ばしにしないために、気持ちをコントロールすることが必要です。

 その方法の一つは「形から入る」ことです。スポーツをするために道具をそろえたり、料理をするために良い包丁を買ったりすることを思い浮かべる人も多いと思います。形から入るというと、うわべだけで内容が伴わずに無駄だと思いがちですが、実はイメージを具体化させると明確な行動につながりやすいのです。道具だけではなく、環境も同じです。つまり、仕事の前にデスク周りを片付ける、照明の明度を変えるなども有効です。場所によりますが、仕事モードの音楽をかけるのもいいでしょう。

 また、仕事がたまっているときは、何から手を付けていいか分からなくなり、やる気が起きない場合もあります。そのまま思考停止の状態になってしまうのは危険です。人間の脳は、一度ストップしてしまうと、再びアクセルを踏んでスタートするのに時間がかかるのです。

 そのため、まずは「動くこと」が大切です。とはいっても、やみくもに手を出してはなかなかうまくいきません。そこでお勧めしたいのが、「やるべきことの書き出し」です。現状をきちんと把握し、一覧で見ることで、漠然としていた自分のタスクが整理されます。頭の中で思い浮かべるだけでは細部がぼんやりし、優先順位があいまいになります。リストを書き出すのは、紙でなくとも視覚的に管理できるものであれば、アプリなどを利用してもいいと思います。

 気に入った文具や小物をそろえるのも効果的ですので、「形から入るなんて」と敬遠せずに、試してみてください。

日本メンタルアップ支援機構 代表理事 大野 萌子
◇大野 萌子/おおの・もえこ

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、公認心理師、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで5万人以上を対象に講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)ほか多数。