「春の嵐・メイストームに注意」
5月の天気といえば、晴れて穏やかな日が多いイメージではないでしょうか。気温も上がり、1年で一番快適な陽気になります。西から次々にやってくる移動性高気圧に覆われるためですが、この時期はまだ台風が近づくこともなく、梅雨ももう少し先なので、高い確率でお出かけ日和になります。
一方で、5月は春から初夏へと進む季節の変わり目でもあります。日本付近では南から入り始めた初夏の暖気と、北に残る冬の寒気がせめぎ合っている状態です。ひとたび移動性高気圧が東へ離れると、この暖気と寒気の境目に低気圧が発生し、天気が崩れます。そして、こうした南北の寒暖差が大きい場合は、低気圧が発達しやすく、時折、日本付近で台風並みに急発達する低気圧が現れます。これを春の嵐「メイストーム」と呼んでいます。全国的に大荒れの天気になり、豪雨や暴風、高波などで被害の発生につながるため警戒が必要となります。
この「メイストーム」という言葉が生まれたきっかけは、1954年5月10日、北海道の東海上で急発達した低気圧によって、漁船が大量に遭難したことによるものです。たった1日で台風並みに発達し、被害を避けることができなかったのです。
メイストームは台風並みといっても、台風とは大きく違うところがあります。それは、影響範囲です。台風における暴風の範囲は、中心付近の暴風域の円内で、進路から離れた場所では比較的穏やかです。
一方、メイストームは、暴風の範囲が広く、中心から離れていても強い風が吹き荒れます。発達度合いによっては、日本列島がすっぽりと暴風エリアに入ることもあります。範囲が広いということは、台風よりも暴風を受ける時間が長くなり、台風一過のように急速な回復もありません。広範囲の暴風・豪雨により、各地で災害をもたらし、交通機関の乱れや停電の影響も広くなる可能性があるのです。
最近は、テレビやインターネットにおいてメイストームではなく「爆弾低気圧」という言葉が多く使われるようになりました。気象庁では、爆弾低気圧は「使用を控える用語」とされていますが、一年を通して使いやすく、爆弾という強い言葉で災害の危険性が伝わるのであれば、いいのかもしれません。
5月はレジャーの季節ですが、旅先での被害に注意が必要です。特に山のレジャーでは、低気圧が近づく前は暖湿流による雪崩、通過中は長時間の暴風、通過後は急激な気温の低下で低体温症の危険があります。お出かけの際は、予報をしっかりと確認するようにしてください。
気象予報士兼税理士
藤富 郷

◇藤富 郷/ふじとみ・ごう
気象予報士、税理士。埼玉県三郷市生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修了。大学院在学中に気象予報士に登録。日本テレビ「スッキリ」に気象キャスターとして出演しながら税理士試験に合格し、2016年に開業。21年に越谷税務署長表彰受賞。趣味の鉄道では、鉄道イベント出演や時刻表、鉄道模型雑誌にコラムを寄稿。プログラミングやダムにも造詣が深く、”複業”として得意を組み合わせて幅広く活躍中。地元の「三郷市PR大使」を務めるなど、地域との関わりも深めている。
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