ダムの魅力があふれる季節になりました。私の趣味の一つに「ダム巡り」があり、ドライブしながら楽しんでいます。
ダムというと、構造物の上のゲートから豪快に噴き出す放流のイメージを持つ人が多いでしょう。しかし実際に見に行くと、ほとんどのダムは放流しておらず、少しがっかりするかもしれません。ダムの水は下の方から流れているのですが、上のゲートは「洪水吐き」と呼ばれ、普段は使われていないのです。その名の通り、災害の恐れがあるときに水量調節を行い、洪水を防ぐためのものだからです。
ただ、春先から初夏にかけては、大雨でなくても放流を見られる機会があります。
一つ目は、「雪解けの放流」です。雪国にあるダムは、春先に雪解け水が集まってきますので水位が上がり、大量に川に流す必要があります。このため、ゲートを開けてどんどん放流していきます。雪解けの放流は、比較的長い期間見られますが、今年は雪が少なめで気温も高く、早く雪が解けるため、例年より早く終わってしまうかもしれません。
二つ目は、大雨に備えた「水位を下げるための放流」です。治水を目的とするダムでは、夏は川に流れ込む大量の雨水を受け止めるため、水位を低くして備えます。5月から6月頃に放流を見られる可能性があります。
三つ目は、ゲートの「点検放流」です。洪水調節に必要なゲートが災害時に確実に動くように、雨の季節の前に動作確認を行います。確認だけなら水位が下がったときに点検することもできますが、最近は水位が高いときに実際に放流する所も出てきています。
この三つの放流の中でお薦めなのが「点検放流」です。点検なので日時が決まっており、ダム事業者が告知してくれることも増えてきました。その日に行けば、確実に放流を見ることができます。放流が始まる瞬間はドキドキするものです。
最近はダム人気が高まっており、点検放流にも多くのファンが集まるようになってきました。まちぐるみの大きなイベントにもなっており、地域活性化にもつながっています。
私も何度も点検放流を見に行っていますが、毎回、ダムの迫力と放流の力強さに心躍らされます。この時期、美しい山の景色と圧巻のダム放流を、旅の候補に加えてみるのもいいですね。

気象予報士兼税理士 藤富 郷
◇藤富 郷/ふじとみ・ごう
気象予報士、税理士。埼玉県三郷市生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修了。
大学院在学中に気象予報士に登録。日本テレビ「スッキリ」に気象キャスターとして
出演しながら税理士試験に合格し、2016年に開業。21年に越谷税務署長表彰受
賞。趣味の鉄道では、鉄道イベント出演や時刻表、鉄道模型雑誌にコラムを寄稿。プ
ログラミングやダムにも造詣が深く、“複業”として得意を組み合わせて幅広く活躍
中。地元の「三郷市PR大使」を務めるなど、地域との関わりも深めている。

