気象予報士×税理士 藤富郷のクラウドな話「紅葉と黄葉」

コラム

 紅葉狩りが楽しめる季節になりました。日本の紅葉は世界一きれいだといわれるほど、色が多彩で種類が多いのが特徴です。

 紅葉には、イロハモミジのように赤く色付く「紅葉」と、イチョウのように黄色く色付く「黄葉」があります。

 葉はもともと、葉緑素といわれる緑の色素「クロロフィル」と、黄の色素「カロテノイド」を持っています。その中で緑の色素クロロフィルが黄色のカロテノイドより5倍から8倍も多いといわれており、春から夏に葉っぱが緑色に見えるのはそのせいです。

 ところが、秋になると日が短くなり気温が下がることで、光合成が起こりにくくなります。木々は葉っぱが不要になり、枯れる準備を始めます。そうなると、最初に起こるのがクロロフィルの分解です。植物の種類によって、ここから「紅葉」と「黄葉」に分かれます。

 「紅葉」はクロロフィルが分解されるときに、赤色の「アントシアニン」がつくられます。緑のクロロフィルが減り、もともと少ないカロテノイドよりも赤のアントシアニンが増えて赤い葉っぱになっていきます。アントシアニンには役割があり、紫外線を吸収し、秋の葉っぱを日差しから守るといわれています。これが紅葉の仕組みです。

 一方、「黄葉」は赤い色素「アントシアニン」をつくれない植物で起こります。緑のクロロフィルが分解されて、分解されない黄色のカロテノイドが残ると、黄色の葉っぱになります。これが黄葉の仕組みです。

 つまり「紅葉」と「黄葉」はアントシアニンがあるかないかの違いなのです。紅葉は色が「足され」、黄葉は「引かれる」というイメージです。

 紅葉は、気温が8度以下になると始まるといわれており、地面から熱が放出される放射冷却で冷え込む日が続くと進んでいきます。加えて、適度な湿気があることも大切です。常に水が流れている渓谷の紅葉がよりきれいに見えるのは、湿度があるおかげです。

 全国で一番早い紅葉は、北海道で一番高い大雪山系旭岳で、9月中旬ごろから見頃となります。一方、まち中では都市化や温暖化の影響があり、紅葉の時期が遅くなっています。気象庁によるカエデの紅葉の観測では、関東から西では12月になってからが多くなっています。つまり、日本列島では3カ月ほど紅葉の時期があり、長く楽しむことができます。

 今年の夏は記録的に暑くなりましたが、秋がいかに冷え込むかが紅葉にとって大切です。この秋も気温が高い予想ですが、秋の深まりが待ち遠しいですね。

気象予報士兼税理士  藤富 郷

◇藤富 郷/ふじとみ・ごう

 気象予報士、税理士。埼玉県三郷市生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修了。大学院在学中に気象予報士に登録。日本テレビ「スッキリ」に気象キャスターとして出演しながら税理士試験に合格し、2016年に開業。21年に越谷税務署長表彰受賞。趣味の鉄道では、鉄道イベント出演や時刻表、鉄道模型雑誌にコラムを寄稿。プログラミングやダムにも造詣が深く、“複業”として得意を組み合わせて幅広く活躍中。地元の「三郷市PR大使」を務めるなど、地域との関わりも深めている。