気象予報士×税理士 藤富郷のクラウドな話

コラム

「秋の短さに拍車をかけた猛暑」


 今年も秋らしさを感じられる時期が短くなりそうです。夏の猛暑が記録的な長さになったためです。特に猛烈な暑さで有名になったのは、福岡県の太宰府市です。35度以上の猛暑日を62日も観測し、そのうち40日が連続記録となりました。これまでの日本記録は、2023年の群馬県桐生市で、猛暑日の合計は46日。連続記録は20年の岡山県高梁市の24日でしたので、大幅に記録を更新し、太宰府は一気に灼熱(しゃくねつ)のまちになりました。その様子が連日報道され、観光客のインタビューを見ると暑さ対策が大変だったようです。
 そして、暑かったのは太宰府だけではありません。全国的に異常な暑さで、記録超えの地点がほかにも33地点ありました。40度以上を記録したのは9地点で、18年に続き統計開始から2番目に多い地点数です。栃木県の佐野市では41.0度まで上がり、歴代2番目の暑さとなりました。
 気象庁では、6~8月を夏、9~11月を秋としています。しかし、今年は9月に入っても30度以上の「真夏日」の所が多く、なかなか秋らしさが感じられませんでした。20日には静岡市で39.2度と9月中旬以降の国内最高記録が出たのです。そうなると、体感的には6~9月が夏。12月は暖冬だとしても気温は下がってくるので、秋を感じられるのは10~11月だけになります。
 今年は、猛烈な雷雨など「熱帯のスコール」を思わせる雨の降り方も多くなりました。気温が高ければ高いほど、空気中に含まれる水蒸気量が多くなり、大雨の原因になります。石川県能登地方では9月下旬になっても線状降水帯が発生し、大雨特別警報が発表され、災害級の大雨になりました。これも、記録的な猛暑によって非常に湿った空気が多量に流れ込んだからです。
 これらの理由から、温帯から熱帯気候に変わったのではないかと心配する声がありますが、ドイツの気象学者であるケッペンの気候区分で見ると、熱帯の定義は「最も寒い月の平均気温が18度以上」であり、暑さを基準としていません。18度というのは東京の10月の平均気温くらいです。遅くても秋や冬がやってくる日本は、やはり温帯なのです。今後、猛烈な暑さの夏が当たり前になる予測はありますが、秋は短くてもやってきます。日本の秋は実りも多く、読書やスポーツにも最適ですね。10月下旬になると山から紅葉も始まり、日本の四季の美しさも感じられます。ようやく秋らしくなってきましたので、あっという間の秋を逃すことなく、旅行やレジャーなど十分に堪能したいものです。ることをお勧めします。


気象予報士兼税理士

藤富 郷

◇藤富 郷/ふじとみ・ごう

 気象予報士、税理士。埼玉県三郷市生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修了。大学院在学中に気象予報士に登録。日本テレビ「スッキリ」に気象キャスターとして出演しながら税理士試験に合格し、2016年に開業。21年に越谷税務署長表彰受賞。趣味の鉄道では、鉄道イベント出演や時刻表、鉄道模型雑誌にコラムを寄稿。プログラミングやダムにも造詣が深く、”複業”として得意を組み合わせて幅広く活躍中。地元の「三郷市PR大使」を務めるなど、地域との関わりも深めている。