「同じダムは二つとない」
今では観光スポットとしても人気のダムですが、その総数はどれほどあるかご存じでしょうか。現在、日本ダム協会によると全国で約2700カ所。平均すると、各都道府県に55カ所以上で、そんなにあるのかと驚く人もいるかもしれません。ダムはつくられる場所の地形や地質などでさまざまな構造のものがありますが、その種類は大きく分けて4種類です。
まずは、全体の4割ほどを占める「重力式コンクリートダム」。水圧をダムそのものの重さで支える形式で、巨大なコンクリートの塊がそびえ立ち、迫力満点です。横から見ると三角形になっているのが特徴です。
次に、弓のような形の「アーチ式コンクリートダム」で、代表されるのが富山県の黒部ダムです。曲線形のためコンクリート量が少なくて済みますが、ダム本体ではなく両岸の岩盤で水圧を支えるため、岩盤が強くないとつくれません。全体の2%程度しかなく、珍しい形式のダムです。
そして、土砂などでつくる「アースダム」。全体の4割強を占め、日本で一番多い種類のダムです。高い構造のダムには適さず、ため池として使われている所が多いです。古くからの形式で、大阪府の狭山池ダムは7世紀前半につくられたもので、日本最古と伝えられています。
最後は「ロックフィルダム」です。岩石や砕石を積み上げてつくられています。素材はダム周辺にある岩石などが使われることが多く、黒いダムや白いダムなど地域の地質特性が現れた色になっています。
こうして主に4種類に分けられるダムですが、実際にダム巡りをしてみると同じダムは二つとないことに気付きます。同じ種類でも、地形によって幅や高さ、ゲートの位置など千差万別だからです。
例えば、重力式コンクリートダムの中でも、群馬県と埼玉県にまたがる下久保ダムは、幅が605mあり直角に近いL字型の構造を持つ横長のダムです。また、広島県の帝釈(たいしゃく)川ダムは幅が39.5mしかなく、高さが62.4mもある縦長の構造となっています。そして、放水するゲートが真ん中にあるダムもあれば、端に付いているダムもあります。古くからあるダムはゲートの数が多い傾向があって、岐阜県の大井ダムは21門もあります。
それぞれの特徴に加えて四季の景観美もあり、ダムの魅力は尽きません。各地のダムで配布される写真入りの「ダムカード」を集める醍醐味(だいごみ)も、このような唯一無二の景色にありそうです。
夏のダムは水しぶきもあって涼しさが感じられます。ダム湖でレジャーを楽しめる所もありますので、山あいのダムへ出かけてみてはいかがでしょうか。
気象予報士兼税理士
藤富 郷

◇藤富 郷/ふじとみ・ごう
気象予報士、税理士。埼玉県三郷市生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修了。大学院在学中に気象予報士に登録。日本テレビ「スッキリ」に気象キャスターとして出演しながら税理士試験に合格し、2016年に開業。21年に越谷税務署長表彰受賞。趣味の鉄道では、鉄道イベント出演や時刻表、鉄道模型雑誌にコラムを寄稿。プログラミングやダムにも造詣が深く、”複業”として得意を組み合わせて幅広く活躍中。地元の「三郷市PR大使」を務めるなど、地域との関わりも深めている。
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